建物の安全性能は、意匠設計や構造計画はもとより、建材の選定によって大きく左右されます。各種法令や安全規格に適合した建材の適切な採用は、日常の快適性や防犯性の向上にとどまらず、非常時における被害拡大の抑制や避難などを支える「安全確保の命綱」です。
本記事では、文化シヤッターの商品の安心・安全を支える試験・研究施設「ライフイン環境防災研究所」を取材し、性能検証の考え方や試験・評価体制、商品開発の基盤整備に焦点を当てて紹介します。
文化シヤッターの試験・研究体制の歩みは、1990年に埼玉県桶川市に開設された「桶川テクニカルセンター」から始まります。
建築基準法改正により防火性能基準が明確化された翌1991年には、民間企業として初めて「耐火試験炉」を導入し、防火シャッターや防火ドアの高度な性能検証と技術開発を加速させました。その後、2000年に「試験センター」へと改称、2008年には基幹工場のある栃木県小山市へ拠点を移し、生活者視点の概念を加えた「ライフインセンター」へと進化を遂げます。2017年には、さらなる試験装置の拡充を伴うリニューアルにより、現在の「ライフイン環境防災研究所」へと発展、多様化する環境変化や防災ニーズに即応する、総合的な研究・実証基盤を確立しています。
出典:文化シヤッター公式HP>企業情報>商品の評価・検証の取り組み
私たち建材メーカーは、商品を安全にお使いいただくために、すべての商品の性能を自社で責任をもって確認することが必須だと考えています。
これにより、関連法令や各種安全規格への適合性を確実に担保するとともに、エビデンスに基づいた品質保証体制を構築しています。
施設内には商品開発部があり、隣接して小山工場がありますので、変化の激しい社会のニーズに合わせた商品開発のスピードアップにも直結しています。例えば、気候変動に伴う設計荷重の見直しや、多様化するライフスタイルに即した独自の試験条件の設定も、フレキシブルかつ迅速な検証が低コストで可能です。結果として、時代に即応する開発のスピード化と環境・防災を軸とした高付加価値な製品開発の両立を実現しています。
それは品質を担保するうえで、私たちが最も真摯に向き合うべき課題です。「ライフイン環境防災研究所」は「桶川テクニカルセンター」として発足した当初は商品開発部門に属していましたが、その後、品質保証部門を経て、現在は本社の一部門として独立しています。このように積極的な組織改革を重ねることで、社内の試験・評価機関でありながら、高い中立性と客観性を確立しています。
また、試験装置・試験員の力量・試験プロセスのすべてにおいて適切な測定能力を示す国際規格「ISO/IEC 17025の試験所認定」を取得しています。防火・耐火、気密・水密・耐風圧、遮音、断熱といった各認定範囲において国際的な信頼を得ていることはもちろん、認定範囲外の試験においても、ISOの要求事項に則った厳格な管理体制のもとで試験所を運営しています。
私たちの試験・評価・検証を経て、製品化した事例を分野ごとに紹介します。
●耐風圧
近年の気候変動により増加する台風や強風に耐えられる高耐風ドアやシャッターの開発に向け、「動風圧試験機」を使って性能評価試験を行っています。また、大型シャッターではシャッターカーテンを寝かせて風荷重に相当するおもりを載せ、耐風圧強度を評価する載荷試験も実施しています。
商品例:ウインドブロックシリーズ(重量シャッター、オーバースライディングドア、住宅用窓シャッターなど)
●遮音
遮音製品は、「音響試験室」を用いて性能試験を行いますが、その際には何度もトライ&エラーを繰り返して目標とした性能値へと導きます。時間をかけて性能試験を行えるのは、社内に研究施設があることのメリットです。
商品例:高遮音スチールドア、スライディングウォール
●止水
従来、水門など土木事業に用いられてきた止水機能を、業界に先行してドアやシャッターの機能に取り入れたのが文化シヤッターでした。そうした背景のもと、現在も大規模な「止水試験装置」を活用して試験を重ね、優れた止水性能を導き出しています。
商品例:止水マスターシリーズ(止水板、止水ドア、止水パネルシャッターなど)
自然災害による二次被害や火災事故などの教訓から、建材に求められる安全性・信頼性への社会的要請は一段と高まっています。これに伴い、施主に対するより確実なエビデンスの提示が不可欠となっています。充実した試験・研究体制を自社に持つメーカーは、法改正や性能検証データの整備にも迅速かつ的確に対応することが可能です。建材を選定される際には、仕様だけでなく、それを裏付ける試験実績や評価体制までを含めて総合的にご判断いただくことで、建物の安心・安全はより確かなものになります。
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