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BX防災・環境ノートDisaster Prevention & Environmental Notes

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断熱等性能等級適合の見直しにどう対応する
建材選定の最新動向

環境

はじめに〜断熱等性能等級適合の見直しの背景〜

日本の住宅業界では、1999年に制定された省エネ基準が2020年まで長らく維持されてきました。そのため、国内の住宅の省エネ性能は国際的に見て改善の余地が大きく、「冬寒く夏暑い」住宅が一定数供給され続けてきたのが実情です。しかし、世界的な脱炭素の流れを受けて、「2050年カーボンニュートラルの実現」「2030年度温室効果ガス46%排出削減」という国の政策目標が2020年に掲げられました。これを契機に、住宅の断熱性能向上は最優先課題となり、いよいよ住宅の省エネ化に本格的に舵を切る流れへと変わっています。こうした背景が、断熱等性能等級適合の見直しにつながったといえるでしょう。

住宅省エネ政策の変化

省エネ基準は、「省エネ法」に対応する形で1980年(昭和55年)に初めて制定され、以後何度も改正・強化されてきました。2021年までは断熱等級4が最高ランクでしたが、2022年の品確法関連制度の改正により、断熱等級5・6・7が新設されました。2025年4月には建築物省エネ法の改正によって、すべての新築住宅では「断熱性能等級4」および「一次エネルギー消費量等級4以上」の省エネ基準への適合が義務化されます。これにより、2022年3月まで最高等級だった「断熱等級4」は実質的に最低水準となりました。さらに、2030年には省エネ基準の水準が段階的に引き上げられ、「断熱等級5」(ZEH水準)相当が最低水準となる方向で検討されています。

〈ポイント〉
(1)すべての新築住宅(床面積10㎡超)に省エネ基準への適合が義務化
(2)増改築(床面積10㎡超)についても省エネ基準への適合が必要
(3)2030年以降は、等級5(ZEH水準)が標準的な目安となる見込み

住宅・非住宅建築への具体的な影響

(1)住宅への影響
2025年4月より、「断熱等性能等級4」および「一次エネルギー消費量等級4を満たさない新築住宅は原則として建設できなくなりました。また、これまで木造2階建て住宅などに適用されていた「4号特例」についても見直しが行われ、審査対象となる範囲が拡大し、構造関係図書の提出が求められるケースが増えています。

(2)非住宅への影響
2026年4月1日から、中規模の非住宅建築物に対する省エネ基準が強化されました。工場や店舗などエネルギー消費量が多い用途では、省エネ適合性判定(適判)を申請する際、より高い省エネ性能が求められます。
●対象:延床面積300㎡以上2,000㎡未満の非住宅建築物
●内容:一次エネルギー消費量基準(BEI)が現行省エネ基準の15~25%強化される予定
●影響:従来以上に高性能な外皮(開口部、天井、壁)や高効率な設備(照明、空調、給湯)の導入が不可欠に。

法改正による設計プロセスや検査手続きなどの変化

2025年よりすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準が義務化されたことで、これまで以上の検討・調整や資料作成が求められています。さらには申請受理までに時間を要する場合もあり、設計・施工に携わる方々の実務的な負担と責任は増大しています。

<ポイント>
(1)設計プロセスの変更
初期段階から断熱等級を考慮して設計を行うことに。

(2)建築主への説明努力義務
建築士が建築主に向けて省エネ性能向上の重要性について説明することが求められるようになった。

(3)検査・審査の厳格化
建築確認審査の中で省エネ適合性審査を受けることとなり、計画書や計算書などの資料の作成が必要となった。そのため、平屋かつ200㎡以下の建築物は、建築士が建物の省エネ性能を計算し、その品質を保証するように設計・監理することとなった。また、工事完了時にも検査が実施されることになった。

省エネ基準をクリアするために必要な仕様・設備とは?

2025年の省エネ基準適合化の基本要件となる断熱等性能等級4および一次エネルギー消費量等級4をクリアするために用いられる戸建住宅の仕様・設備の例を紹介します。

(1)断熱等性能等級4以上で必要な仕様(6地域・東京など) の一例
熱の出入りが最も多いのは窓なので、Low-E複層ガラスを採用し、サッシはアルミ樹脂複合製を選びます。また、断熱材の厚みだけでなく、気密性も確保することが重要です。

(2)一次エネルギー消費量等級4以上で必要な設備
高効率な空調、給湯器、照明などを設置し、一次エネルギー消費量を地域などで定められている基準一次エネルギー消費量で割った値である「BEI」が1.0以下となる必要があります。これらを達成するために必要とされる設備が以下となります。

給湯設備:潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)、ヒートポンプ給湯機(エコキュート)
空調設備:省エネ型エアコン(インバーター式、高COP)
照明設備:全室LED照明
換気設備:高効率換気システム(熱交換型など)
その他 :省エネ型節水水栓(キッチン、浴室)、太陽光発電システム(必須ではないが効率向上に寄与)

文化シヤッターの製品とソリューション

文化シヤッターでは、断熱性能を持つ住宅用製品としてマンション玄関ドアのほか、工場・倉庫・体育館などに対応する遮熱・省エネソリューションを提供しています。

(1)住宅用製品
●マンション玄関ドア
標準タイプから、オプションで高断熱心材を使用した扉と断熱枠を組み合わせたハイグレードタイプまでのバリエーションがあります。
軽量鋼板玄関ドア「MXシリーズ」
◆設計上のメリット
個性豊かなデザインと多様なカラーの組み合わせが可能で玄関の意匠の自由度を高めます。また、環境負荷の低い非塩ビ鋼板の使用により、環境配慮型設計にも適しています。

(2)省エネに関するソリューション
●アルミ箔を使用した遮熱シート
輻射熱を反射することで建物内の温度上昇を抑え、熱中症の予防や荷物へのダメージ軽減、エアコン代の削減に効果を発揮します。
屋内用遮熱シート「はるクール」
◆設計上のメリット
低コストで後付けに適し、既存の工場、倉庫などにも導入しやすい遮熱シートです。施工が簡単で短納期を実現でき、軽量で耐久性に優れたアルミ箔素材により、メンテナンスの手間とコストを抑えます。

最後に:〜2030年の断熱等性能基準引き上げに向けて〜

断熱等性能等級の見直しは、「省エネをする」から「高性能が当たり前」へ住宅・建築市場を変える大きな転換点です。これからは、性能を満たすだけでなく、コスト・施工性・供給安定性まで含めた現実的な最適解をつくれるかが、事業者の競争力になります。
ぜひこのタイミングで、2030年を見据えた仕様・体制・提案のアップデートを進めていきましょう。

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